いいお墓を得るには、まずいい霊園探しから。お墓は代々承継していくものであり、一度お墓を建てた霊園とは長いおつきあいになります。霊園のよしあしが最大のポイントになるといっても過言ではありません。
では、「いい霊園」とは一体どのようなものなのでしょうか?今回は霊園探しにおける重要なポイントを解説していきます。
霊園選びのポイント7選
最終的には「現地を見学して決めよう」と考えているかもしれませんが、漠然と見学に行ってもそこが自分の希望に合う霊園かどうかは判断がつきません。事前の情報収集で考えておくべきポイント、現地見学でしっかり確認してくるべき項目を、7点解説します。
1.立地・周辺環境
霊園の立地は、最重要項目といっていいほど慎重に検討しなければいけないポイントです。田舎にあるから、遠方にあるから、管理や供養がなかなか行き届かず、墓じまいを考えたり無縁墓になってしまったりという恐れまで出てくるからです。
墓守の自宅に近い霊園や、親族がなるべく多く住んでいる地域にある墓地を選びましょう。
また、アクセスや周辺環境も重要です。交通機関が充実しているか、車で行って駐車場はあるかということもチェックしましょう。今はよくても歳を取ってからのお墓参りが大変になるケースもあります。さまざまなシミュレーションを行い、もっともお参りのしやすい立地の霊園を選びたいものです。
2.運営主体
寺院墓地
寺院の敷地内に設けられた墓地です。利用するには、その寺院の檀家に入ることが条件となります。
管理は行き届き、住職によって供養してもらえるため安心感は抜群といえますが、お墓を建てるときだけではなくその後も寺院とのつきあいは続いていくことにメリットを感じるかデメリットを感じるかは、人それぞれとなるでしょう。
また、檀家料だけではなくお布施も必要となることも覚えておきましょう。
民営墓地・霊園
主に宗教法人などが運営する霊園ですが、多くは寺院墓地と違って宗教・宗旨・宗派の制限がありません。近代的で充実した設備であることが多く、管理も行き届いていて、その分公営霊園と比べると利用料は高めになっています。石材店の指定があるところも多いとはいえ、墓石のデザインはある程度自由に選ぶことができます。
公営墓地・霊園
自治体が運営する霊園であるため、利用料はもっともリーズナブルであることが最大のメリットといえます。宗教・宗旨・宗派も不問であり、自治体運営のため突然閉鎖ということもありません。
ただし、利用するためには公募抽選に当選しなければならず、応募にも条件があることがあります。
3.宗教・宗旨・宗派
霊園によっては、限定された宗教の信者しか利用できないということもあります。特に寺院墓地ではその檀家であることも条件となりますが、公営墓地や民営墓地では不問とされることが多いため、無宗教や自分の宗派がわからないといった場合はそちらを選ぶとよいでしょう。
4.お墓のスタイル
近年はお墓にもさまざまなスタイルが登場してきています。お墓といえば墓石の下に遺骨を安置するもの、というイメージはいまやすっかり古くなっているのです。
お墓に対する考え方や意識、今後のライフスタイル、承継者の有無など家庭によってどのスタイルのお墓が最適かは変わってきます。霊園によっては希望するスタイルのお墓が用意されていないこともあるため、霊園自体を決める前にまずお墓のスタイルを検討しておくことが大事です。
一般墓
墓石が整然と並ぶ、ごく一般的なお墓です。お墓といえばこれ、というイメージにもっとも近い、古くから存在する伝統的な形態です。やはりお墓といえばこの形、という考え方を持っている人は多く、根強い人気があります。ただし、承継者が必要となるため、自分の代でお墓を継ぐ人がいないなどという場合は、持つのは難しくなります。
納骨堂
屋外に墓石を建てるのではなく、屋内に遺骨を安置するスペースを並べた施設です。墓石が必要ないため費用が抑えられ、交通利便性に優れているところが多く、天候に関係なくお参りできることで近年注目されている形態です。
納骨堂は永代供養(墓地や霊園が遺骨の管理・供養を行ってくれること)がセットになっているところがほとんどで、承継者がいなくなっても利用できる点もメリットのひとつです。
樹木葬
樹木葬は墓石の代わりに樹木や草花を墓標とするお墓で、納骨堂同様墓石が必要なく、自然に囲まれた開放的な環境で眠れるというメリットがあります。樹木葬もほとんどが永代供養付きとなっていて、歴史はまだ浅い形態のお墓ですが、近年人気が高まっています。
合祀墓
身寄りがなく、お墓の世話をしてくれる親族がいない人が入るイメージの強い合祀墓ですが、近年は生前からこれを希望して選ぶ人も増えています。合祀(ほかの故人の遺骨とともに埋葬される形態)であるため、その後個別の遺骨を判別することは不可能になりますが、墓地や霊園が永代にわたって供養してくれます。
5.施設・設備
施設の様子や設備の状態も、しっかりチェックしておきたい点です。共用部分や共用掃除道具などの状態はどうなっているか、お墓参りの際にはきつい階段や坂道がないか、トイレは近くにあるか、お花やお線香を販売している売店はあるかなど、実際に参拝したときのことを考えながら見学してみると、問題点があるかどうかがわかります。
6.管理体制
霊園や墓地とは、長いおつきあいになります。管理費が高額なのに管理体制がいいかげんである、というところは避けたいですね。清掃は行き届いているか、芝や植え込み・樹木の手入れはされているか、スタッフの対応はよいかなど、細かいようですが長いおつきあいのなかでは重要な要素となります。
7.価格・費用
お墓を求めるときには、相応の費用がかかります。決して安くはない「買い物」となるため、その金額も重要なポイントであるのは間違いありません。
お墓を建てるときに必要となる費用の主なものとしては、使用料・管理費・墓石代が挙げられます。
このうち「使用料」は、一般墓であれば永代使用料、永代供養墓であれば永代供養料という名称になるでしょう。これは霊園によって差があり、前述したように運営主体によっても相場に差が出てくるものです。基本的に初期に一括で支払うものであり、あとから追加で請求されるようなことはほとんどありません。
「管理費」は、年間単位で支払いが発生する費用です。こちらは霊園によって差があるというよりも、施設によって差が出る、と考えていた方がわかりやすいでしょう。たとえば、同じ納骨堂でもロッカー型と自動搬送型では管理費に非常に差があります。納骨堂は一般墓に比べて費用が抑えられるというメリットがありますが、管理費の金額と支払い続ける期間によっては、全体の金額を見ると一般墓と変わらなくなる、というケースもあります。
「墓石代」は一般墓でしか発生しませんが、墓石の大きさやデザインによっても上下します。
費用をできるだけ抑えたいのであれば、お墓のスタイルの選択と連動させて考える必要があるといえるでしょう。
霊園探しの手順
1.譲れない条件や優先順位を書き出す
前述した霊園選びのポイントをもとに、自分が譲れない条件や優先させたい事項を書き出していきましょう。予算も考えておきます。
希望する理由も一緒に書き添えておくと、次に家族や親族と話し合う際に説明がスムーズにできます。
2.家族や親族と話し合う
お墓を建てたいことや霊園探しを始めていることを、家族や親族などの関係者に伝え、自分の希望をもとに全員の意見を聞き、話し合います。納骨方法やお墓のスタイル、霊園の立地、墓石の種類、予算、承継者、いつまでに建てるのかなど、細かく決めていきましょう。
お墓に対する考え方は、人それぞれです。承継者になる人、お墓参りに行く親族、すべての人の意見をしっかり聞いて、納得のいく形で検討していきます。
3.霊園のあるエリアの絞り込み
どのようなお墓にしたいかが決まったら、霊園のあるエリアの絞り込みを行っていきます。希望や条件に合った霊園なのか、空き状況はどうなのかということも調べながら絞り込んでいきましょう。
4.霊園の現地見学
ある程度絞り込めたら、現地見学に行きましょう。一か所だけではなく、数か所候補に挙げて、比較することも必要です。インターネットなどの情報だけを参考にするのではなく、必ず現地見学に行って雰囲気や環境を肌で感じることも重要です。
5.石材店探し
霊園を決めたら、墓石をお願いする石材店探しにも取り掛かりましょう。霊園によっては指定の石材店があるため、事前に確認しておきます。指定がなければ、こちらも複数社候補に挙げて見積をお願いしましょう。
6.契約
霊園・石材店を決めたら、それぞれと契約を交わします。
お墓は一朝一夕で建つものではありません。じっくり時間をかけるためにも、余裕を持ったスケジュールを組んで計画を進めていきましょう。
まとめ
お墓は一度建ててしまうとかんたんに「引越し」ができるものではありません。大変な労力と、建てるとき以上の費用がかかってしまうこともあるほどです。
だからこそ霊園探し、お墓選びはじっくり時間をかけ、こだわりポイントを絞って進めていきましょう。
一昔前と比べて、お墓のありようも多様化してきています。自分だけではなく、家族や親族みんなの希望や意見、価値観をすり合わせて、納得のいく霊園を見つけたいですね。